【音楽理論】II7のふたつの解釈と対処方法について

II7について

今回は、II7の取り扱いについての解説です。

  • ダブルドミナント
  • スペシャル・ファンクション・ドミナント

このふたつの視点から解説します。

Key=Cの曲のなかにD7というコードが出てきた場合の解釈と演奏方法についてのお話です!

かずあき先生
かずあき先生
高橋 和明
かずあき先生
独立12年目のフリーランスのプロベーシスト。
専門学校卒業後、楽器店の講師経験を経て独立。
現在はジャズプレイヤー、作曲家、講師として活動。
プロの質問し放題のBASS NOTEオンラインコミュニティ「Minerva」を運営中。
ウマ娘ちゃん箱推し。

ダブルドミナントについて

キーンコーンカーンコーンという学校のチャイムから始まることで有名なスタンダード曲「If I Were a Bell」
この曲を例に分析してみます。

ダブル・ドミナントについて

1小節目に注目してください。
C7-F△7( =V-I)に向かうセカンダリードミナントとしてG7( =II7)が配置されています。

このように、「ドミナント7thコードに向かうセカンダリードミナント」のことをダブルドミナント(double dominant)と呼びます。

別名ドッペルドミナント(doppel dominant)。
英語圏では「V/V」「five of five」や「the dominant of the dominant」と呼ばれるのが一般的です!

かずあき先生
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エクステンデッド・ドミナントについて

エクステンデッド・ドミナントについて

6小節目移行の流れに注目です。

D7-G7-C7-F△7

セカンダリードミナントの連鎖が3つ以上続く流れのことを、エクステンデッド・ドミナント(extended dominant)と呼びます。

コードの考え方・処理方法はダブルドミナントと同じです。

ダブルドミナントとして挿入されたコードは、ミクソリディアンで処理するのが一般的です!

かずあき先生
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よく「II7=ダブルドミナント」という覚え方をしてしまう方がいますが、正確にはドミナントコードに4度進行するドミナントコードのことをダブルドミナントと呼びます!

目次

スペシャル・ファンクション・ドミナントについて

こちらは定番のスタンダード曲「Take the ‘A’ Train( =A列車で行こう)で解説します。

Take the A Trainの冒頭8小節

3〜4小節目に登場するD7( =II7)。
このコードは、ドミナント7thコードではなくてIIm7へと進行しています。

このようにドミナント7thに向かわない特殊なノンダイアトニック7thコードのことをスペシャル・ファンクション・ドミナント(Special Function Dominant =SFD)と呼びます。

  • イパネマの娘(The Girl from Ipanema)
  • Falsa Baiana
  • Just Friens

などなど、II7-IIm7-V7-Iで進行する曲はたくさんあります!

ジャズスタンダードの”あるある進行”のひとつなので、覚えておきましょう!

かずあき先生
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このように解決していないドミナント7thコード上でリディアン♭7スケールが使えます!

リレイテッドIIの知識があると「II7-V7-Iの”V7”から派生したIIm7を置いているだけ!」と捉えられるので、ダブルドミナントの一種として取り扱うこともできるコードになります。

[おまけ] II7(9)について

Bobby CaldwellのWhat You Won’t Do For Love(風のシルエット)の循環コード進行の中に登場するII7(9)というコードについて。

| Db△7 C7 | Fm7 Bb7(9) |

| IV△7 III7 | VIm7 II7(9) |

「IV△7→III7→VIm7」
通称 “丸サ進行”と呼ばれる超定番のコード進行です!

  • IV△7→III7→VIm7-%
  • IV△7→III7→VIm7-I7

このようにVIm7を引っ張るかI7に進行するのが定番なのですが、What You Won’t Do For LoveではII7へと進行しています。

かずあき先生
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このII7(9)の正体はVIm7、つまりFm7なんです。

Bb7(9)Bb (Root)D (M3rd)F (P5th)Ab (7th)C (9th)
Fm7Bb (7th)F (Root)Ab (m3rd)C (P5th)

コードトーン(構成音)を比べてみると、D以外のすべての音が共通していることがわかります。

ということで。
What You Won’t Do For Loveに登場するBb7(9)はFm7の代理(回転系)である」という分析ができます!

「II7(9)はVIm7の代理として登場することがある!」と覚えておきましょう!

正体は、なんてことないIV△7→III7→VIm7-%でした!

ちなみにこの楽曲のII7(9)の上ではFエオリアンスケールで演奏することができます!

かずあき先生
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